少子高齢化が加速する日本において、
出生数の回復は急務であるにもかかわらず、
日本は諸先進国に比して家族関連社会支出が極端に少ない。
子育て世帯に福祉的「ボーナス」を与えるどころか、
金銭的にも社会的にも「罰」を与える政策により、
日本の少子化対策は完全に失敗している。
子育てを「自己責任」とみなし、
親子を苦しめる社会・政治の制度・慣行を、
本書では「子育て罰」と定義。
九月入学問題や高所得世帯の児童手当廃止、
「こども庁」の政治利用等に鋭く切り込んできた教育学者の末冨芳氏が、
日本から「子育て罰」をなくし、
再び「親子にやさしい国」にするための方策を論じる。
学術用語「child penalty」から「子育て罰」という訳語を生んだ社会福祉学者・桜井啓太氏の論考、末冨・桜井両氏による対談も収録。
目次
はじめに
第1章 「子育て罰」を作った3つの政治要因
第2章 「子育て罰」と子どもの貧困
第3章 「子育て罰大国」はどのようにして生まれたか
第4章 対談「子育て罰」大国から
「子育てボーナス」社会へ!
末冨芳×桜井啓太
第5章 「子育て罰」をなくそう
あとがき
著者紹介
末冨芳(すえとみかおり)
1974年生まれ。京都大学教育学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。博士(学術・神戸大学大学院)。現在、日本大学文理学部教授。内閣府子どもの貧困対策に関する有識者会議構成員、文部科学省中央教育審議会委員等を歴任。主著に『教育費の政治経済学』など。
桜井啓太(さくらいけいた)
1984年生まれ。大阪市立大学大学院創造都市研究科博士課程単位取得退学。博士(創造都市)。名古屋市立大学准教授を経て、現在、立命館大学産業社会学部准教授。主著に『〈自立支援〉の社会保障を問う』など。