original
『茶色の朝』
〜流されないことの大切さ〜
差別を大きな声で叫ぶ人よりも、
本当に怖いのは「まあ仕方ない」と
思ってしまう人たち。
フランスの寓話『茶色の朝』では、
ある日突然「犬や猫は茶色しか飼えない」と
法律で決められる。
それを聞いた人々は、心の中では「変だな」と思いながらも、「自分には関係ないし」「まあ仕方ないか」と従ってしまう。
やがて新聞は“茶色”しか印刷できなくなり、
言葉も、考え方までも“茶色”に縛られていく。
恐ろしいのは、
最初から強い差別意識があったわけではないこと。
多くの人はただ「自分には関係ない」と思い、
目の前の理不尽をやり過ごしていただけ。
でもその“仕方ない”が積み重なって、
気づいたときにはもう、
自分の身に降りかかっていた。
無関心や容認こそが、社会を壊していく。
これは今の日本にも重なる部分があると
言えるかもしれない。
読み終えたあとに背筋がゾっとした。
by 藤原ひろのぶ
茶色の朝は、10分程で読める小さな本です。
だけど奥深い。
“仕方ない”に慣れていないか、
立ち止まって考えさせられます。
著者のフランク・パヴロフは、1990年代の西ヨーロッパで高まっていた極右運動や民族主義の高まりに危機感を抱いていました。
この作品は、現代社会に潜む全体主義への危険性や、人々が安易に思考停止に陥ることへの鐘を鳴らしています。
茶色はファシズムの象徴であり、社会が一色に染まる不気味さと、そこから抜け出すための「ノン」という勇気の重要性を訴えかけています。
物語/Franck Pavloff (フランク・パヴロフ)
フランスとブルガリア国籍をもつ心理学者、人権運動家。子どもの心理と人権のスペシャリスト。アフリカやアジア、フランス国内での子どもの問題に30年以上かかわってきた経験をもつ。子ども向けのものや詩集をふくめ、彼の著作はフランスで多数出版されているが、日本語訳は本書が初めてとなる。
訳/藤本一勇(ふじもと かずいさ)
早稲田大学文学学術院教授(哲学・表象メディア論)
絵/Vincent Gallo(ヴィンセント・ギャロ)
ニューヨーク州バッファロー生まれ。映画監、俳優、画家、写真家、ミュージシャンなどさまざまな分野で活動するマルチ・アーティスト。
メッセージ/高橋哲哉(たかはしてつや)
東京大学大学院総合文化研究科教授。哲学者。
フランクパヴロフ・物語
ヴィンセントギャロ・絵
高橋哲哉・メッセージ
藤本一勇•訊